ジム・ロジャーズが今投資するのはベトナム その理由は?

「世界3大投資家」の一人とされるジム・ロジャーズ氏の本誌連載「世界3大投資家 ジム・ロジャーズがズバリ予言 2020年、お金と世界はこう動く」。氏は「繁栄と衰退の見分け方は歴史から学べ」と話す。

 今、世界では多くの変化が起きている。しかも、危機が進行しているなかで、そのスピードは加速している。

 たとえば、インターネット通話の「Skype」やオンライン会議システム「Zoom」といったサービスは、新型コロナウイルスの感染が拡大する前から存在していた。それが、今では多くの人に知られるようになった。私も取材を受けるときは、対面取材よりもインターネットを使う。

 オンライン教育の取り組みも広がった。これも以前から存在していたものだが、子供たちまで使うようになった。

 急激な変化に対し、どの国が対応できているか。もともと苦境にあった欧州の国々は、新型コロナによってさらなる苦境に沈んだ。一方、経済力の上昇が続いていたベトナムは、公式発表では一人の死者も出していない。コロナ危機にうまく対応できているように見える。少なくとも、欧米の国々に比べれば悪影響は少ない。だから、私は今、ベトナムに投資している。

 1900年に世界で最も影響力を持っていた国々が、2020年の時点でも同じであるとは限らない。世界は常に変化しているからだ。

 投資で金持ちになることは、簡単なことだと考えている人もいるかもしれない。私も、そうであればよかったと思うが、現実はそうではない。だからこそ、変化のサインを見逃してはならない。

 私が投資の世界に入ったとき、「バブル」というものを知らなかった。他の人と同じようにバブルの中にいて、それが普通のことだと考えていた。そしてバブルがはじけたとき、私は全財産を失った。バブルは、普通の出来事ではなかったのだ。

 それから私は、バブルについて学ぶようになった。時間をかけてリサーチして、日々の宿題をこなす。歴史書を読めば、つねに新しく繁栄してくる国々があり、衰退していく国々があることがわかるはずだ。

 1900年に人々が考えていたことは、1915年には変わっていた。1920年に人々が思い描いていたことは、1935年にはその通りにならなかった。これは強力なメッセージだ。

 第2次世界大戦についての米国の歴史書を読めば、著者は「原爆を落とさなければならなかった。他に選択肢はなかった」と書いているだろう。しかし、それは間違いである。1945年8月、日本は和平に動き始めていた。本当は、日本に原爆を落とす必要はなかった。

 大事なことは、歴史について学ぶときは、複数の本を読まなければならないことだ。読書だけではない。経験からも学ぶことはできる。誰もが違うものの見方をしていることを知らなければならない。

 もう一つ伝えておきたいことがある。すべての人にとって「旅」が素晴らしい教育になるということだ。私は、娘たちには「遠くの大学に進学しなさい」と言っている。近くの大学に行くことは許さないつもりだ。遠くに行き、自分たちの暮らしと違う文化を学ぶことは、人生の中で得がたい財産となる。

 旅は、多くの学びを与える。世界は今、どのように変化しているのか。世界のどこが動いているのか。できれば、2~3年は自分の国から外に出ることが望ましい。私も、私の妻も、旅から多くのことを学んだ。長い旅から帰ってきたら、自分の国についてより深く知るようになる。そのときあなたは、よりよい国民になっているはずだ。(取材/朝日新聞シンガポール支局長・西村宏治 構成/本誌・西岡千史 監修/小里博栄)

※週刊朝日  2020年7月10日号

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