メモ

社員数の増加により物理的なオフィスを捨て全社員がリモートワークに移行した理由


自宅やカフェなど、オフィスではない別の場所で働く「リモートワーク」という働き方が徐々に広がりつつありますが、SNS連携サービスのBufferは、オフィスを廃止して全スタッフが完全にリモートワークに移行していて、これまでの経緯を公開しています。

We're Ditching the Office Completely: Here's Why
https://open.buffer.com/no-office/


Bufferは創設当初の2010年から2013年初頭まではたった4人のチームで、物理的なオフィスを構えておらず、活動の起点となる特定の都市はありませんでした。しかし、サービスでソーシャルメディアを扱う都合上、他のスタートアップやソーシャルネットワークサービスなどが多くオフィスを構えるサンフランシスコやシリコンバレーの近くで活動し、他のサービスと安定した関係を結ぶことが重要だとスタッフは考えるようになったそうです。そこで、キュレーションサービスのStorifyと共同でサンフランシスコにオフィスを借りて、6カ月にわたってオフィスを共有していました。

しばらくの間、共用オフィスを使っていたBufferのスタッフですが、2014年7月にサンフランシスコのSouth of Market地区にオフィスを移転することになります。共有スペースから独立したオフィスを借りた理由としては、Bufferの社内文化をスタッフ全員に浸透させることと、社員全員を1カ所に集めて年に1回の集会を行う、という2つの理由があったそうです。

以下の写真は、共用オフィスから独立したオフィスに引っ越す際に、机を壊してしまって、飛び散った破片を掃除している様子。


オフィスの移転後、Bufferでは徐々にリモートで働くメンバーの募集も行い始めました。社員を増やすにあたって、Bufferでは、インバウンドマーケティングソフトウェア「HubSpot」の元最高製品責任者(CPO)であるDavid Cancel氏から設立時に言われた「メンバー全員が同じオフィスで働く方法と、全員がバラバラの環境で働く方法の2つがあり、どちらの方法もうまくいくが、両方をミックスした方法はあまりよくない」というメッセージと、Basecampのデザイナー・Jason Zimdars氏の「オフィスに通うメンバーには何の利点もなく、自宅勤務のメンバーには何の不利益もない」という言葉を大事にしてきたそうです。

リモートで働くメンバーとサンフランシスコのローカルチームの人数のバランスを取りながら徐々に社員数が増えていき、およそ50人に到達。サンフランシスコのオフィスには、休憩のための二段ベッドが置かれていて、頻繁に使われていたそうです。


しかし、CEOのJoel Gascoigne氏は、「特定のオフィスを構えていると、目先の仕事にとらわれてしまい、オフィス勤務のメンバーとのミーティングををついつい延期しがちになる。短時間で実行できるタスクは、常に最優先に実行するべきだ。同じオフィスにいてもいなくても、重要な連絡は、Google HangoutやHipChat、メールを駆使してすぐに行うべきだ」と気付いたそうです。

リモートで働くメンバー同士がサンフランシスコのオフィスで初めて顔を合わせることもあり、物理的なオフィスはBufferの社内で重要な役割を果たしていたとのこと。また、お互いに顔を突き合わせて話すことが、よりよい人間関係の構築に役立つという研究結果もあります。ただし、BufferのリモートワークスタッフののCourtney Seiter氏は、オフィスを1度も訪れたことがなく、そのことによって特に不利益を被ることもなかったそうです。


サンフランシスコは他のIT企業で働く人々との出会いの場でもあり、Bufferのスタッフの約半数がサンフランシスコに住んでいました。しかし、世界各地のスタッフを雇っていくうちに、ロンドンやニューヨークなど他の都市でもスタッフの数が増えて、サンフランシスコのオフィスに通勤しているスタッフはたったの2~3人しかいない状態になったそうです。

Bufferの有料会員から集めた会費を社内でどのように運用しているのかを計算したところ、オフィスの家賃が1カ月当たり7175.53ドル(約81万円)と、全体の2.1%を占めていて、なんと社員の健康保険料や広告費、マーケティング費よりも割合が高いことが判明。Bufferではこの計算結果をもとにして社内でアンケートを取り、オフィス廃止を決定しました。


社員全員がリモートワークに移行した結果、最後までサンフランシスコのオフィスで働いていたスタッフ数名には、サンフランシスコのコワーキングスペースを借りる費用が会社から支給されているそうです。また、カフェなどで働きたいスタッフ向けには、別途勤務手当が支給されており、Bufferのスタッフは世界中のどこでも働ける環境が整っているそうです。

記事作成時点で、Bufferのスタッフはアメリカ・サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、イギリス・ロンドン、南アフリカ・ケープタウン、上海など世界各地に散らばっており、ほとんどすべてのタイムゾーンを網羅しているそうです。


なお、オフィスから退去する最後の日に撮影したという、オフィス内のタイムラプス映像も公開されています。

Cleaning Out the Buffer Office: Timelapse - YouTube

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
オフィス以外で働く「リモートワーク」を実践して得られたメリットはこんな感じ - GIGAZINE

特定のオフィスを持たない勤務スタイル「リモートワーク」のための完全ガイドブック「The Ultimate Guide to Remote Work」 - GIGAZINE

留守番電話を廃止したコカ・コーラ社に象徴される「働き方」の変化とは - GIGAZINE

Googleの前CEOであるエリック・シュミットが考える新しい働き方とは? - GIGAZINE

上司不在で肩書き・役職を撤廃し社員に自由を与える「ホラクラシー」を導入した会社に起こったこととは? - GIGAZINE

アジアで海外ノマドしてみた・6カ国まとめ - GIGAZINE

ぼっちオフィスがどこにでも即座に作れる「ノマドスーツケース」を公園など野外で使ってみました - GIGAZINE

どこにでも設置できる1人用のミニオフィス「OfficePOD」 - GIGAZINE

in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.