会議なし、資料なし、会社に来る必要なし!/カルビー松本会長「ダイバーシティーが嫌いな会社に未来はない」

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2016年12月12日(月)、東京・有楽町マリオンにて、朝日新聞社主催の『CHANGE Working Style シンポジウム』イベントが開催された。第1部のシンポジウムでは、働き方改革先進企業6社の経営者らが登壇。各社の働き方改革に対する姿勢や、実際に行っている取り組み、その効果事例などについて紹介した。

カルビー
【写真左から】
進行役:町田智子さん (朝日新聞社 取締役女性プロジェクト担当)
魚谷雅彦さん(株式会社資生堂 代表取締役 執行役員社長兼CEO)
大西 洋さん(株式会社三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員)
北沢利文さん(東京海上日動火災保険株式会社 取締役社長)
新浪剛史さん(サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長)
松本 晃さん(カルビー株式会社 代表取締役会長兼CEO)
吉澤和弘さん(株式会社NTTドコモ 代表取締役社長)

特に、会場から注目を集めたのが、カルビー株式会社の松本氏の演説だ。今回は、その一部をご紹介しよう。

変革とは、既得権益を奪うこと
「ダイバーシティーが嫌いな人は、どうぞお辞めください」

ここ数年、好調に業績を伸ばし続けているカルビー。松本氏は、「僕はめったに会社に行きません。仕事の飲み会も行きません。できる限り無駄を削り、生産性の高い働き方を求めているからです」と前置きした上で、日本社会で働き方改革がなかなか進まない原因を次のように分析した。

「1989年11月9日、“異常な40年”が終わりました。働けば働いただけ儲かる、高度経済成長の時代はとっくの昔に終焉を迎えたのです。ですから、僕たちは変わらなければいけません。そうしないと、企業は死に、日本は衰退すると分かっているからです。でも、変革というのは非常に難しい。なぜならそれは、『既得権益を奪うこと』だからです。奪われる側の人たちは、自分たちが一度手にした権力を必死で守ろうとします。でも、それを奪い取らないとだめ」(松本氏)

松本氏が現職に就いたのは、今から7年半前のこと。その時、松本氏は「悪しき昭和の文化が根付いたこの旧体制的な組織を壊して、みんなが伸び伸びと活躍できる会社にしよう」と誓ったそう。

カルビー

「生産性高く働ける環境を築くためにまず僕がやったことは、改革の下支えとなる制度を整えることでした。カルビーでは、会社に来て仕事をする必要はありません。成果さえ出せばどこで仕事をしても良いことにしています。『仕事が終わったなら帰れ』といって、15時でも、14時でも、好きな時間に帰れるようにしました。そして、無駄な定例会議も全部無くしました。僕自身は20年間ノーミーティングです。『会議なんて全部やめてしまえ』と何度も何度も言ってきました。当然、何かコンセンサスをとる必要があるときには皆で集まって話すこともあるけれど、稀なことです」(松本氏)

そして、社員の生産性の高い仕事を阻んでいるのは「上司です」と一刀両断。

「特に、男性の中間管理職の人たち。必要もない定例会議を増やして、誰もいらない膨大な資料を部下に作らせます。くだらないことのために、部下がクリエーティブな仕事をする時間を奪っていくのです。僕が働き方改革を進めるようになってから、『松本さん、こんなことをやっていてはだめです』とクレームをつけにきたのも“男性管理職”でした。『在宅ワークなんて進めたら、絶対にさぼる奴が出てきます』と言ってきたのです。それで僕は言いました。『きみは会社に来てさぼっている』と。さぼるならどこでさぼっても一緒。工場労働のように時間で働かなければいけない仕事もあるけれど、ホワイトカラーの仕事は違う。成果さえ出せば、どこで働いたっていいんですよ」(松本氏)

勝つか負けるかの時代ではなく、勝つか死ぬかの時代
働き方改革は急務

女性活用やダイバーシティーについても、松本氏に対して文句をつけてきたのは男性管理職だったそうだ。

「『もともと男女の人口は半々なんだから、管理職だって男女比率半々でいいじゃないか』と言っています。すると『問題が起こったらどうするんですか』なんて言ってくる。そんなのやってみなければ分からないのに、何を言っているんだと思いますね」(松本氏)

結果的に、カルビーでは女性管理職の数も年々増え、執行役員の中にも女性がいる。不況の中でも売り上げは右肩上がりで、魅力的なアイデアが社員から出てくることが増えたそうだ。

「会社には社員を魅力的な人間に育てる義務があります。早く帰って時間に余裕が持てるようになると、各自の教養が高まり、家族を大切にし、健康になり、その人の魅力が増す。仕事にもいい影響をもたらします」(松本氏)

また、松本氏は「変革をするかしないか議論しているフェーズはとっくに過ぎた」と念を押す。

カルビー

「かつて三洋電機には、10万人の社員がいたそうですが、いまや社員はその7%の7,000人しかいなくなりました。あんなに素晴らしい会社でも、時代の変化にすぐ対応できなければこうなるんです。今は、勝つか負けるかの時代ではなく、勝つか死ぬかの時代です。それでも『ダイバーシティーなんて意味がない』と言っている人がいるとしたら、うちでは『どうぞお辞めください』ってはっきり言います。未だに『ダイバーシティー』なんて口にしたことがないような企業も世の中にはごろごろとあるでしょうから、そういうところに行けばいいんです。僕は嫌われ者になってでも、カルビーをグローバル市場で勝ち続ける企業にしていきます」(松本氏)

共に登壇した経営陣からも「まさにその通り」といった声が上がり、イベント参加者も松本氏の「約束」がきっと実現することを確信した。

大手企業の経営者たちが働き方改革に本気で乗り出した今、「明るい変化の兆し」が感じられる。そんな中で、私たち一人一人が、時代に即した働き方を意識する必要があるだろう。

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意外とわかっていない!?本当の「ダイバーシティー」の意味って?

「ダイバーシティー」あるいは「ダイバーシティー・マネジメント」という言葉を知っていますか?

「ダイバーシティー(diversity)」という言葉は、通常「多様性」と訳され、企業経営においては人種・国籍・性・年齢は問わずに人材活用する「人材と働き方の多様化(多様性)」を意味します。ダイバーシティー・マネジメントとは、多様な人材の雇用や勤務を可能とするシステムを差します。

政府も、企業のダイバーシティー・マネジメントの導入・推進には力を入れていて、例えば、2012年からは経済産業省が「ダイバーシティー経営企業100選」(経済産業省)を実施しているほどです。今回は、このダイバーシティーについて考えてみましょう。

女性の活用だけではないダイバーシティー

そもそも、ダイバーシティーという言葉が日本で使われるようになった2000年代前半、日本では、ダイバーシティーは企業における人事政策のひとつとして理解されることが多かったようです。そして、「ダイバーシティー=多様性の尊重」という一面的な理解の中で、多くの企業が女性の活用に力を入れたのです。

確かに、多人種・多民族・多文化・多宗教が共生する米国と違い、日本の企業社会にとって「多様性の尊重=マイノリティの尊重」が女性の活用に結びつくことは、ある意味で当然の流れだったと言えます。日本の企業社会で“最大の少数派”は、女性だからです。

しかし、その後、女性だけではなく、高齢者、障碍者、外国人などが、尊重されるべき少数派として認識されるようになります。

その背景には、様々な理由があります。

例えば、経済のグローバル化が進む中で、外国人雇用の必要性が高まったこと。あるいは、労働力人口の減少に直面し、高齢者の活用が求められたこと。価値観の多様化が進む中で、企業の競争力強化のために、多様な人材の活躍を必要としたことなどです。

真の目的はチームの総合得点を高める点にある!?

42_2-resizedこうして、ダイバーシティーは、その対象者を広げていき、今では女性、高齢者、障碍者、外国人、ニート・フリーターといった属性の人々の活用が、企業の経営施策に盛り込まれるようになりました。さらに、大企業にとどまらず、中小企業においても、ダイバーシティーの取り組みがかなり広がってきています。

このような流れの中で、日本の企業におけるダイバーシティーは、CSRの一環として捉えられる傾向が強くありました。その結果、「女性管理職が何割います」「外国人、高齢者を何人雇用しています」といったダイバーシティーに対する理解が表層的なレベルに留まっているのではないか、という厳しい意見もあります。

例えば、イー・ウーマン社長の佐々木かをり氏は、ダイバーシティーについて次のように語っています。

「グローバル社会になり、ITが進んだ今、一つの価値観でモノを決め進めていくことが、うまく働かない。一つの商品を生み出すにも、その商品を宣伝するにも、さまざまな立場からの意見を取り入れ点検し、なるべく多くの人に届くように、配慮してモノづくりやコミュニケーションをする必要が出てきたのです。そうすると、多様な思考の人をチームに入れる必要があります。」

つまり、ダイバーシティーをCSRの視点ではなく、企業の競争力強化の観点から捉え、多様な人材の雇用を「組織の中の思考の多様性」に結びつけていかなければならないと、指摘しているのです。

東京商工会議所がまとめた『中小企業のためのダイバーシティー推進ガイドブック』も、次のように書いています。

「終身雇用を前提とした男性総合職の従業員だけでは、これからの経営が成り立っていかないことは自明です。様々な異なった個人の異なったものの見方を、経営上の決定、日々のオペレーションそのものに活かしていくことが急務です」

佐々木かをり氏は、「ダイバーシティーの最終目的は、『チームの総合得点を高めること』です」と語っています。そのチームが、長い間、男性中心で運営されてきた日本の企業にとって、女性の活用は重要なことです。しかし、女性管理職の数値的目標や女性トイレの環境改善が、チームの総合得点を高める真のダイバーシティーと言えるでしょうか。

少数派の異なるものの見方がオペレーションに反映される柔軟な組織づくりや、異なるものの見方であっても意見する意思を持った自立した社員の存在こそが、真のダイバーシティー・マネジメントに直結するのではないでしょうか。

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